EUの日本産食品の輸入規制撤廃(2023年8月)を解説
EUが日本の食品の輸入規制を撤廃したの?
食品を輸出する企業にとってはどんなメリットがあるの?
主に「水産物」と「きのこ・山菜類」に影響があるよ!
2023年8月に、EUが日本産食品の輸入規制を撤廃しました。
今回は、この規制撤廃について解説していこうと思います!
EU 日本産食品の規制撤廃とは?
まずは、「この規制撤廃によって何がどう変わるのか?」を見ていきます。
変わるのは、主にこの2点…
- 一部地域/品目で、『放射性物質検査証明』が不要になる
- 『産地証明』が不要になる
細かく見ていくと、
- 福島県
- マイワシ、サンマ等の一部の水産物、柿(乾燥品)、野生のきのこ類、一部の山菜類(野生のワラビ、タケノコ、タラノキ、コシア ブラ)
- 宮城県
- 野生のきのこ類、一部の山菜類(タケノコ、タラノキ、 野生のワラビ、コシアブラ、ゼンマイ)
- 群馬県
- ニジマス、コイ等の一部の水産物、きのこ類、一部の山菜類(コシアブラ、 タラノキ)
- 山形県・山梨県・静岡県
- 野生のきのこ類、一部の山菜類(コシアブラ)
- 茨城県・長野県・新潟県
- 野生のきのこ類、一部の山菜類(コシアブラ)
- 岩手県
- 野生のきのこ類
- 47都道府県
- 上記の県ごとの放射性物質検査証明の対象品目、または、生産・加工地が不明な上記の品目の使用割合が50%を超える食品及び飼料
こんな感じになっています。
「水産物」や「きのこ・山菜類」がメインですね。
次は、「産地証明書」を見ていきます…
- 47都道府県
- 上記放射性物質検査証明の対象品目で、本検査証明書が要求される県以外で生産・加工されたもの。 または、本検査証明書が要求される県以外の品目の使用割合が50%を超える食品及び飼料
*参考:農林水産省 「EU等の日本産食品への輸入規制の改定について」
これを見ると、「産地証明書」はほとんど必要なくなったイメージですね!
輸入規制撤廃の背景
では、そもそもなぜ輸入が規制され、なぜ撤廃されたのでしょうか…?
この点も押さえておこうと思います!
輸入が規制されるようになった理由は、ズバリ、「東日本大震災による原発事故」です。
原発事故により、放射性物質が放出されたことで、EUは日本産食品の輸入を規制することになりました。
では、輸入が撤廃された理由は何でしょうか…?
輸入規制が撤廃になった理由は、「日本産の食品のリスクが下がった」から。
皆様もご存知の通り、放射性物質は時間が経つと放射性物質の放出量が下がっていきます。
これ以外にも多くの取り組みもあったと思いますが、2023年の今、日本産の食品リスクが下がったと判定されたんですね。
イメージとしては、こんな感じでしょうか…
日本産の食品は、もうそこまで厳しくチェックしなくても大丈夫そうだよね〜
実は、欧州委員会は2011年からずっと、2 年ごとに状況をチェックし続けていたんです。
そのチェックが12年続いて、やっと撤廃されたということですね。
*参考:EU公式HP 「Commission lifts the Fukushima restrictions on food imports」
撤廃の影響
ここまで、撤廃内容や背景を見てきました。
この撤廃による影響は、単純に…
もっとEUへの食品の輸出が増えるかも…!
と考えられますが、実際に輸出をしている方々にとっては、「放射性物質検査代が浮く」という点が大きなポイントだと思います。
今までEU向けにロット毎などで外部機関に検査を出していた企業は、コスト(1検体 約15,000円分とか)が浮く可能性が非常に高いですね!
少なくとも、このコストが浮いた分だけ企業は助かるはずです!
まとめ
ということで、EUの日本産食品の輸入規制撤廃を解説してきました。
少なくとも、EUに食品を輸出している企業にとってはポジティブなニュースです。
放射性物質をめぐって、世界ではEUのような「緩和派」と中国のような「規制強化派」に分かれてきていますね。
これからも、放射性物質に日本の食品輸出は左右されるはずですので、要チェックです。
ということで、輸出に関わるメーカー様や商社様にとって有効な情報になれば嬉しいです!
今日も良い1日をお過ごしください〜!